映画「靖国・地霊・天皇」公式ブログ
    • 靖国の底の底が覗き見えた映画だった。田原総一朗(ジャーナリスト)
    • 観ながらドキドキする。この危険な映画を観ている自分にドキドキする。観終えて思う。確信する。でもそれは僕の思い。きっとあなたにはあなたの思いが生まれるはず。これはそんな映画なのだ。森達也 (映画監督・作家)
    • 今まで知らなかった靖国が立ち現れてくる。鬼気迫る映画だ。地霊と共に、大浦監督の底力を感じた。「ここまでやるのか、監督は」と、恐怖した。鈴木邦男 (一水会顧問)

    【靖国】がここにある

    誰も見たことが無い

    靖国・地霊・天皇

    2014年7月ポレポレ東中野にて全国順次公開

    監督/編集 大浦信行

    撮影:辻智彦 / 撮影助手・編集:満若勇咲 / 録音:清水克彦、根本飛鳥、百々保之 / 整音:吉田一明 / 制作:葛西峰雄 / 特別協力:辻子実 / 出演:大口昭彦、徳永信一、あべあゆみ、内海愛子、金滿里、鶴見直斗(声の出演)製作/配給:国立工房

    解説

    靖国に眠る246万の死者の声に耳を傾ける時、イデオロギーを越えた【靖国】の新たな姿を目撃するドキュメンタリー

    21世紀の今も、なお問題であり続ける「靖国」。現在、靖国神社には246万余りの戦没者が合祀されています。
    静かに佇む社の地下には、おびただしい人々の「血の海」が激しい怒りや哀しみをたたえ、たゆたっています。

    靖国をめぐっては「歴史認識」「A級戦犯合祀」「政教分離」「首相参拝」などの論点について、今も多くの意見が激しく対立しています。本作品では、合祀撤廃、政教分離を訴えた「ノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟」でも弁護人を務る大口昭彦氏と、右派陣営の代理人弁護士として、歴史認識問題や靖国問題、政治思想をめぐる事件を数多く手がける徳永信一氏、この左派・右派を代表する弁護士2名が、それぞれの「靖国への想い」を熱く語ります。彼らの意見に静かに耳を傾けると、様々な想いが蠢く軟体動物のような生物としての【靖国】が、無数の死者たちが奏でる沈黙の声に誘われるかのように浮かび上がってきます。

    思想やイデオロギーを越えた地点から靖国を感じ、靖国の地下に眠る【地霊】の声に耳を傾けてみること。それこそが、8月の終戦記念日を控えたこの時期に【靖国とは何か】を考えるきっかけとなるでしょう。

    監督は、異端の美術家、大浦信行(65歳)。美術家・映画監督として40年以上のキャリアを持つ大浦が【表現者としての集大成】として選んだテーマは【死者との対話】。映画でしか表現できないアプローチで、今まで【誰も見たことのない靖国】の姿を写し出します。

    キャスト

    「靖国神社がきれいごとをしている」って言われているけど、そりゃそうなんだよ。きれい事をする場なんだよ、そこは。

    大口昭彦(おおぐちあきひこ)

    1944(昭和19)年兵庫県生まれ。弁護士。元早大全共闘議長。
    靖国合祀の取り下げや、未払い金の返還などを求めて提訴された「在韓元軍人軍族裁判」の弁護人を務める。2007(平成19)年、韓国人生存者1人と遺族10人が、日本政府と靖国を相手に合祀撤廃、政教分離を訴えた「ノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟」でも弁護人を務めている。

    日本人にとっての靖国問題と、アジア人民にとっての靖国問題をきっちり分けて考えて、解決出来るところから最大限解決してゆくと。。。

    徳永信一(とくながしんいち)

    1958(昭和33)年大阪生まれ。弁護士。
    右派陣営の代理人弁護士として、歴史認識問題や靖国問題など、政治思想をめぐる事件を数多く手がけている。小泉元首相の「靖国神社参拝違憲訴訟」では、神社側補助参加人を務める。近年では、在日韓国・朝鮮人に対する排外的主張を唱える右派市民団体「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などに所属する活動家らの裁判における弁護人を務めている。

    金滿里(キム・マンリ)

    1953(昭和28)年大阪府生まれ。身体表現者。在日コリアン2世。
    3歳の時ポリオにかかり、最重度の身体障害者になる。21歳の時から24時間介護による自立生活を始める。
    現在、身体障害者だけの劇団「態変」を主宰。
    本作では、靖国に眠る死者たちを鎮魂する「地霊」を演じている。

    スタッフ

    監督/大浦信行【映画監督・美術家】

    1949年富山県生まれ。19歳の時より画家を志し、絵画制作を始め、24歳の頃より映像制作を始める。

    1976年より86年までニューヨークに滞在。昭和天皇を主題とした版画シリーズ「遠近を抱えて」14点が日本の検閲とタブーに触れ、作品が富山県立近代美術館によって売却、図録470冊が焼却処分とされた。当時世間を騒がせたいわゆる「大浦・天皇コラージュ事件」である。1994年、それに不服として裁判を起こすも、一審・二審を経て、2000年12月最高裁で棄却とされ全面敗訴。この天皇作品問題を通して、日本における「表現の自由」、天皇制とタブー、検閲について、社会・美術・言論界に問題を提起した。

    2009年、再び沖縄県立博物館・美術館において、「遠近を抱えて」14点の展示拒否・検閲が行われた。映像作品『遠近を抱えて』(1995年87分)では、天皇作品問題を契機としながら、日本近代の闇と、現在進行形で浮かび上がってくる日本社会のねじれと歪みを、自己の無意識の領域に還元し、皮膚感覚を通して有機的に捉え直そうとした。その継続されるべき延長線上に、今度は自己と「他者性」の相関を縫って見えてくる日本を、美術・文芸評論家の針生一郎を主人公に捉え、錯綜するイマジネーションのタペストリーのなか、歴史の古層にまで降り立って提示しようとしたのが映画『日本心中 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった男。』(2001年)であった。大浦の表現活動は新たな領域に入った。

    その続編とも言うべき映画『9.11-8.15日本心中』(2005年)では、重信メイというもうひとりの新たな主人公を得て、渾然一体となった事故の無意識を歴史の古層から汲み上げた想像力を、崩壊の予兆を孕んだ激動する世界に真正面からぶつけ、あるべき未来の姿を指し示した。

    そして、2011年、小説「天皇ごっこ」で文壇デビューをし2005年に自殺した見沢知廉に辿りつき、映画『天皇ごっこ』を監督。暴走族、新左翼、新右翼へとひた走り、時代の寵児となった果てに自死を選んだ見沢知廉の無念の想いを、痛々しくも心優しい悲劇の旅として描き、日本が抱える光と闇を明らかにした。

    こうした活動を経て、2014年に最新作『靖国・地霊・天皇』が、ついに完成する。

    「地霊」となってさ迷う死者たち。その死者たちに複眼的な色彩を与えたい。
    日本の渦巻く混沌と深い闇、そして地霊。
    錯綜するこの思いを映画の軸に据え、僕は「靖国・地霊・天皇」を描きたいと思った。(中略)
    地霊こそは、位相をずらした僕自身の姿だ。のたうち廻る地霊に自己を重ね合わせながら、
    「もう一つの時間」を求めて、僕は映画の時空を駆け抜けたいと願った。 

    大浦信行

    撮影/辻智彦

    1970年和歌山県生まれ。日本大学芸術芸術学部卒業後、「ザ、ノンフィクション」「世界の車窓から」「情熱大陸」「ハイビジョン特集」など、テレビドキュメンタリーの撮影を数多く手がける。

    また劇場用映画ではイアン・ケルコフ監督『シャボン玉エレジー』や若松孝二監督『17歳の風景』『実録・連合赤軍』『キャタピラー』、白石和彌監督『ロスト・パラダイス・イン・トーキョー』などの撮影を担当。大浦信行監督『日本心中』の撮影により日本映画撮影監督協会JSC賞、『実録・連合赤軍』の撮影により三浦賞(新人撮影賞)、毎日映画コンクール撮影賞、『キャタピラー』の撮影によりおおさかシネマフェスティバル撮影賞などを受賞。また、2013年にはWOWOWの連続ドラマW「かなたの子」の企画・プロデューサーおよび撮影監督を務めた。